おはしょり上手は着付け上手?
着物を着る方なら、おはしょりってご存知ですよね?
帯の下に数センチ見える、折り曲げられた生地の部分のことです。
「おはしょり」という言葉は「端折る」からきているそうで、花嫁さんの打掛けや芸妓さんの着物に見られるような裾を引きずる着方は「お引きずり」と言うそうです。
時代劇などを見ると、平安時代や戦国時代のお姫様も、裾を引きずって歩いていますよね。
その状態で外を歩くと着物が汚れるので、裾が地面につかないようにたくし上げたのが、おはしょりのはじまりのようです。
このように、もとは着物を汚さないためであったかもしれませんが、丈の長い着物も調整して着ることができる点も、おはしょりのメリットですね。
そんな便利なおはしょりですが、これを美しく見せようと思うと、なかなか難しい。
ちなみに、帯の下に見えるおはしょりの幅は7〜10cm程度で、前後のよく見える部分にはシワが出ないように作るのがよいとされています。
振袖のモデル写真などでは、ピシッと貼り付けたように作られたおはしょりをよく見かけますが、綺麗に見せるためにおはしょりの中に入れる芯も売られているようです。
着物を着始めた頃の私は、裾の長さだけを合わせて、なりゆきでおはしょりの幅が広くなっても「着物が大きすぎるんだ」と諦めていました。
そんなある日、いつも立ち寄る寺内町の和雑貨店「大正浪漫」の奥さんが、「着付け講座をしましょうか?」と提案してくださり、そこで初めておはしょりの正しい作り方を教えていただけることになったのです。
大正浪漫さんのFacebookはこちら↓
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まず、奥さんは私のおはしょりを触って「あら、四重になってますね」と一言。
「四重? なにそれ?」と首をかしげる私に、「前のおはしょりは表面の生地だけで作るので、二重になるのが正しいんです」とのこと。
着物の前は右の身ごろの上に左の身ごろを重ねていますよね。
つまり、その時点で二重になっているわけです。
それでそのままおはしょりを作れば、生地が四重になるというわけです。
どおりで私のおはしょりは、モコモコしてたわけだ……。
表面の生地だけでおはしょりを作るには、内側の生地をたくし上げるそうで、同様に長すぎるおはしょりも、たくし上げて帯の中に入れてしまうというワザも伺いました。
まさに目からウロコ。
そうすれば、かなり丈の長い着物でも綺麗なおはしょりが作れますね。
しかも、たくし上げた生地が体型補正にもなるという……。
その場でも実演していただいたのですが、自宅に帰って参考にするための動画を探して見つけたのがこちら。
この方の着付けは、シワひとつなく本当に美しい。
「空気が入らないように」とか、「影を作ってはいけません」という言葉が印象的で、かつ理解しやすいです。
このように綺麗に着ると、綸子の光沢がすごく映えるんですね。
こういうものを見ると、着方ひとつで着物の価値まで変わりそうな気がします。
私のように普段着として着物を着るなら、ここまで完璧にする必要はないかと思いますが、やはり綺麗に着られるのに越したことはありませんし、きちんと着ることができれば、結果的に着崩れもしにくいんですよね。
何より、おはしょりが綺麗だと着付けが上手に見える?
私はまだまだ練習中で、形もイマイチだし、時間もかかってしまいますが、これから回数を重ねていくことで、綺麗なおはしょりを作れるよう、マスターしていきたいと思っています。
おはしょり処理の方法を知らなかった頃。
モコモコだぶだぶでかっこ悪い〜(笑)
(鏡越しに撮ってるので、左右が逆になってます)
こちらは最近。ちょっとは見られるようになったかな。