筥迫(はこせこ)を作ってみました
みなさま、ハコセコってご存知ですか?
和装の花嫁さんや、七五三の女の子の懐に差し込まれている綺麗な箱みたいなもの。
あれがハコセコです。
和服の装飾品で,女性用の紙入れの一種。昔は厚手の色紙を折って,その間に櫛や笄 (こうがい) などをはさんで懐中にしたが,江戸時代に広く流行するに及んで,華麗な織布などが使われるようになった。また袋物としてよりも女性の正装の際に欠かせない装飾品となり,その頃から筥迫と呼ばれるようになった。現在では七五三の女児や婚礼の際の和装の花嫁などの装飾品となっている。
出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報
今回は、見よう見真似でこれを作ってみました。
ハコセコを作るきっかけになったのは、こちらでもちょこちょこ登場する着物仲間のK氏。
彼がタバコケースになった根付を作っていたのを見たのが発端です。
↓こんなの
箱から木を張り合わせて作ったという力作。
この前会った時には、螺鈿細工を施してさらにグレードアップしてました。
で、その時、「男の人って根付で信玄袋や印ろうなどをぶら下げたりできるけど、女の人はどうやって小物を持ち歩いてたんだろう」と思ったわけです。
実際、バッグを置いて携帯やリップなどだけを持ち歩きたい時、不便を感じていたのです。
携帯をそのまま懐や帯に差し込んだこともありましたが、滑って落ちやすいし、見た目もイマイチ。
まあ、でも多分、女性の場合、風呂敷包みなどを携えている方が風情があるし、上品に見えるから、そのようなものはないのだろうと思っていました。
※あとから調べると、もともと日本人には、手提げ文化がなかったそう。
何か物を携帯するときは、掛ける、(帯に)下げる、懐中する、背負う、(風呂敷を)抱える
というのが一般的だったみたいです。
参考サイト http://rombako.hakoseko.mods.jp/?eid=981727
でもある日、ふと「花嫁さんの懐に入っている小さなバッグみたいなのはなんぞや?」と思いつき、調べてみたのです。
それが筥迫(はこせこ)でした。
ハコセコの歴史は以下のような感じ。
江戸時代に女子が懐中して用いた紙入れの一種。箱迫,函迫とも書く。近世以後,小袖と帯の発達につれて,帯でしっかりおさえられた衿の合せ目,すなわちふところへ物を入れる習慣が一般に行われるようになり,さげ袋や掛け袋に代わって携帯用のアクセサリーとして筥迫が発達した。筥迫は江戸時代には武家の女性が打掛をつけたときには必ず持つべきものとされていた。筥迫には紙,箸差(はしさし),懐中鏡などを入れ,二つ折りになって,とじ帯に小さい香袋がついている。
出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報
調べれば調べるほど興味が湧き、画像を見ればみるほど欲しくなってきました。
今は主に正装の際に使われているけど、「もともとアクセサリーなら、普段に持っててもいいんじゃない?」という勝手な判断で、試しに作ってみようと思い立ちました。
私はK氏ほど器用ではありませんので、とりあえず材料は紙で。
サラダ油ギフトが入っていた箱が自宅にありましたので、それを使うことにしました。
カットして折り曲げたらこんな形。
これに、リサイクル着物の端切れを貼りました。
本体の表面には、キルト用の綿を入れて、少しふっくらさせました。
左の細長いのは、胴締めといって、本体の胴に巻いて開かないようにするもの。
下のつまみ細工は、装飾に使います。
中は携帯電話とリップが二本入る仕様。
化粧直しする時用に、壊れたコンパクトの鏡を貼り付けました。
私はメンタム必須なので、リップ収納は二本分いるのです。
その分大きくなっちゃって、懐に収まるのかちょっと不安……。
携帯とリップは、吸着シートに貼り付ける形にしました。
次に胴巻きを作ります。
キリで穴を開けて紐を通し、匂い袋をぶら下げます。
こんなところにさりげなく、匂い袋を忍ばせるところが、昔の女性はおしゃれですよね。(形が悪いのはご愛嬌ww)
紐に使ったのはこちら。
手芸屋さんで170円くらいでした。
赤と白を買って悩んだ挙句、赤を使用。
この紐で房も作りました。
そしてこちらがつまみ細工の飾り。
胴巻きに差し込んで飾ります。
あえて取り外しできるようになっているのは、飾りを付け替えて楽しむためかな?
かんざしを差して、装飾に使う場合もあるそうです。(それがまた可愛い!!)
また、かんざしを差し込んだアレンジも楽しんでみようっと♪
(今回は、薄くてしなりがいいようにと、プラ板に布を巻いたものを使用しました)
すべてをセットするとこんな感じ。
懐に収めてみました。
着物の色とは合ってないけど、結構可愛いかも。
ちょっと大きすぎるかなとも思いましたが、意外に大丈夫そうです。
(あとから調べると、匂い袋は懐の中に収めるそうです)
ただ、作ってみて改良点もいくつか。
1、携帯を取り出すたびに胴巻きをはずして、また通すのが面倒。
昔の人は携帯を入れるつもりで作っていないので当然といえば当然。
当時は時間をかけてゆったり出し入れするのが、美意識だったかもしれませんしね。
2、付け外しできておしゃれを楽しむにはいいけど飾りが邪魔。
中身を使おうとすると、胴、胴巻き、飾りの3パーツがバラバラになるので、手がいっぱいになります。
これも、かんざしを飾りにしていれば、その時だけ髪に挿したりしたのかなあ。
3、吸着シートが強力すぎて、携帯を取り外すのに苦労する。
現在、わざわざ手垢をつけて、吸着力を弱めようとしています(笑)
4、内側に貼った生地では、糊ムラが透けて汚い。
フエルトなどを貼った方が綺麗だったかな。
と、反省点はいろいろありますが、見よう見まねで初めて作った割には、いいものができたかなと満足しています。
1〜3は、昔では有りえない用途に使おうとしているのだから、ある意味仕方がありませんね。
次回作る時には、以上の点を考慮して、より使いやすいものにしたいと思っています。
あと、ハコセコと併用した「袂落し」というものもあるそうです。
詳しくはこちらをご覧ください↓
時代劇などでよく袂から小銭を出したりしてるのを見て、「落とさないの?」と不思議に思っていましたが、このような道具があったとは……。
てか、最初からこれに携帯を入れておけばよかった?
いいんです!
ハコセコ可愛いから!!
でも便利そうだし、形もシンプルなので、今度はこれも作ってみようと思います。